①風不死岳 Mount FUPPUSHI
■標高/1102.5m
第四紀火山に指定。アイヌ語で「トドマツのあるところ」を意味する「フプ・ウシ」「フップ・ウシ」「フプシヌプリ」が由来である。
②樽前山 Mount TARUMAE
■標高/1041m
支笏カルデラ。アイヌ語で「タオロマイtaor-oma-i」(川岸の高いところ・(そこに)ある・もの)。1909年(明治42年)の噴火で、山頂には溶岩ドームができた。樽前山熔岩円頂丘として、北海道指定文化財の天然記念物に指定されている。
水は、この世に生きるすべての命が必要とし、共有する物質です。約40億年前に、地球の大気層や地表の冷却とともに雨が降り注ぎ、それが水の起源になりました。5万年以上も降り続いた雨が、やがて隅々に行き渡ったと見られています。
地球上の生命は原始、海中で誕生し、水分を体内に取り入れて利用する過程で進化を遂げていきました。そして人体の3分の2を水が占め、人の体液の構造は海水と似た性質を持つそう。水こそが、すべての命の源なのです。「水の惑星」地球では、太陽のエネルギーを生かした「水の循環システム」が成り立っています。蒸発した水分が上空で凝結して雲を成し、それが飽和すると雨となって降水。また地中に浸透した水分を植物が根から吸い上げ、葉面から蒸散する循環が温度調節の役割も果たし、地球の温度はほぼ一定に保たれてきました。
日本は気候的に雨が多く、良質な軟水に囲まれた「水の国」。火山や地熱によってもたらされた「温泉」も豊富です。昔から日本人の身近にあった温泉は、多くの人々の健やかな暮らしを潤してきました。中でも広大な北海道には各地に温泉街が点在し「温泉天国」とも呼ばれています。
数ある温泉地の中で、支笏湖が真っ先に誇れるのは、透明度が高い清らかな水質。飲料水として重宝するのはもちろんのこと、その水を吸って育つ近郊の山菜や野菜の味にもつながりますし、支笏湖で漁期に揚がる名産のチップ(ヒメマス)も、他地域に比べて味が繊細だと評判です。また、4月半ばから運行する「支笏湖 水中遊覧船」に乗ると、水深2mの位置に設けた水中窓から湖底を眺めることができます。晴れた日は紺碧の「支笏湖ブルー」が見え、癒やしのひととき湖水の透明度の高さを実感することでしょう。
「水の謌」では、空間や音をはじめ館内の随所に「水の癒やし力」を取り入れた宿づくりを進めています。太古から伝わる支笏湖の「水の物語」を紡ぎ、宿を訪れるお客様にもぜひ、水の力を感じていただきたいと思っています。
支笏湖ができる前、この一帯は堆積岩でできた台地でした。約4万年前の大噴火で、火砕流による堆積物が周囲の平野を埋め尽くし、その跡が陥没して楕円形のカルデラとなり、水がたまって支笏湖の原型ができあがったのです。1万年以上が経過して風不死岳が噴火。その後恵庭岳、樽前山の噴火が始まり、三山が姿を現したことにより、楕円形だった支笏湖はひょうたん形に変化しました。
透明度が高く清らかな支笏湖の水質は、生活排水が流れ込まないことが大きく作用していると言われています。生活排水が出ないことでプランクトンの発生数が少なく、餌がないためすむ魚も少ないことで、水が濁りづらいようです。
火山の噴火でできたくぼみをアイヌ民族が「シ・コツ」と呼び、そこへ川の水が流れてできた支笏湖。最大水深約360mは日本で2番目に深く、日本最北の不凍湖です。湖水の水質や透明度は、下記の表にあるように日本トップクラス。支笏洞爺国立公園に指定され、周囲に原始の森が残る環境も水質を支えています。
肌にしっとりなじむ質感から「美肌の湯」とも呼ばれる、支笏湖温泉。日々の疲れを癒やしてくれる炭酸水素塩泉(旧:重曹泉)のやわらかな湯もまた、支笏湖の豊富な水量の恩恵を受けています。ここに温泉街が誕生したのも、良質な「いで湯」あればこそ。そう考えると、街全体が支笏湖の水から成り立っているのかも知れません。
■日本の湖沼 水質ベスト5
ウェルカムラウンジ[ワクカ]に配された水琴窟は、「水の謌」のシンボル。地中に埋めた「甕(かめ)」に水滴音を共鳴させ、その音を愉しむもの。火山と支笏湖の成り立ちをイメージした、心に安らぎを与えるかすかな音に耳を傾けてみてください。
ウェルカムラウンジと客室ラウンジをつなぐ[謌の道]は、千歳川をモチーフにデザインされた水の回廊。耳に心地よい水琴窟の調べと、支笏湖畔の季節を感じつつ、これから過ごす時間への期待や、帰途の余韻を愉しんでいただく空間です。
回廊のつきあたり、客室棟の手前でお客様を迎えるのが[土間ギャラリー]です。水を湛えた噴水と、支笏湖の豊かな自然をモチーフにした彫刻家・瀧口政満氏のオブジェが配され、清々しく静謐な空気が漂います。
「支笏湖は水が美味しい土地なので、ご飯も美味しく炊きあがるんですよ。[天の謌]ではお米を紋別岳の伏流水でとぎ、樽前山の伏流水である『支笏の秘水』で炊いています。『支笏の秘水』は弱アルカリ性なので昆布との相性がよく、煮出さなくてもただ水につけておくだけで、とてもいいダシが取れます。[天の謌]では日高昆布を使っていますが、水が上質な昆布の力をさらに引き出してくれている気がしますね。ご飯もダシも和食の基本ですから、目には見えなくても重要な役割を果たしているわけで、支笏湖の水の恵みを感じます」
「エゾアワビの酒蒸し日高昆布のジュレ仕立て」
(春の前菜一例より)
エゾアワビとハマボウフウ、カブとミョウガなどを、土佐酢と日高昆布のジュレで合わせた一品
「季節野菜のスープ煮」
カツオと鶏のダシをブレンドし「支笏の秘水」を用いたスープが春野菜を引きたてる
料理茶屋[天の謌]
料理長 鎌田 龍司
米はむかわ産「ふっくりんこ」を使用。毎日手でとぎ、炊く直前までたっぷり吸水させる
「森の中で支笏湖の水を吸って育った近郊の山菜は、とても味がよく、ミネラル分豊富な『支笏の秘水』に浸しておくと、味を損なわずにアク抜きできます。アクを取りすぎると山菜の個性である苦味や渋みがなくなるので、水のチカラはとても大切です。朝食ではご希望の方にダッチオーブンで炊いたご飯を提供しておりますので、ぜひお召し上がり下さい」
ヘルシービュッフェ[アマム]
料理長 窪内美典
「山菜のプレート」
(春のビュッフェ料理一例)旬を生かした山菜料理は、同じ春シーズンの中でも使う素材が少しずつ変化していく
ダッチオーブンで炊いたご飯
小さめのダッチオーブンで炊き上げるご飯は朝食ビュッフェで提供
Lake Shikotsu Spring Flower & Bird Watching
自然公園財団
支笏湖支部
主任 瀬戸 静恵さん
樹木に葉が生い茂る前の4〜6月は、バードウォッチングに適した季節。4月にはキツツキの仲間であるアカゲラ、運がよければクマゲラが見られます。5月になるとオオルリやキビタキがやってきます。「雪解け後の森を歩く時の足元は、長靴の準備が必要。ぬかるんだり滑ったりする場所もあるのでご注意を」と瀬戸さん。ウインドブレーカーと双眼鏡もご準備下さい。また、風のない春の朝の支笏湖は、波がない湖面が鏡のようになり、周囲の山々が映り込んで美しく、早朝の湖畔の散歩もオススメです。「水の謌」の周りには約15本の桜の木があり、例年5月中旬にエゾヤマザクラ、1週間ほど遅れて濃いピンク色のヤエザクラの花が咲きます。ぜひ春のお花見にお出で下さい。
●開催日/4月下旬〜11月中旬 ●時間/AM7:00〜
●所要時間/約1時間 ●定員/1名様より
●参加料金/おひとり様・500円
※前日午後8時までにご予約ください。
※悪天候の場合は中止となります。予めご了承ください。
※スタッフの体制によって実施できない日もあります。
当館では、支笏湖畔の散策用グッズの無料レンタル(シューズ、ポール、双眼鏡など)や、 アクティビティプランのご案内も承っております。