Mizu no Uta PRESS Vol.15
支笏湖の水の豊かさを象徴する要素のひとつに「豊富な水量」があります。清流・千歳川の源として清らかで美しい水を満々とたたえる支笏湖の貯水量は日本第2位で琵琶湖の4分の3にも達し、水深363mは東京タワーがすっぽり入ってしまうほど。「凍らない」最北の湖、支笏湖の水の不思議をひもとき、その希少性を探りました。
湖面に波があると凍らないが、ベタ凪の日が続くと薄く氷が張ることもある
「冬も凍らないことが普通なので、あまり“もし凍ったら”と考えたことがないんです」と、支笏湖ビジターセンターに勤務する瀬戸静恵さん。通常、冬は風が強く湖も波が高いため、遊覧船も休航します。それでも「北国の湖は凍るもの」と思っている人は案外多く、「ワカサギ釣りはできますか?」という問い合わせの電話もかかってくるそう。でも「凍らないので氷上の釣りはできませんし、ワカサギも棲んでいません」。波があるので、草に付いた湖水の飛沫が凍ると、花が咲いたようにも見えます。
最北の不凍湖である支笏湖。ではなぜ凍らないのでしょうか。「寒くなると次第に水温は下がっていきますが、支笏湖は大きくて深く、水量も豊富なため、全体の温度が一定に下がりきる前に、春が来るんですね」。
ただし、過去に数回凍った年もあり、その時の様子はビジターセンター内に展示されている写真に残っていました。氷結した湖面の上を人が歩いている、希少な写真です。記録されている1977年と2001年は、ともに気温が低く寒い冬で、水温が下がったため。それ以前に支笏湖が凍ったのは、1953年のことです。偶然にもこれは「24年に1度」のサイクルで、「果たして2025年はいかに?」と、密かに地元関係者の注目を集めています。
ここで、湖の水温の垂直分布を、下の図で見てみましょう。北半球では、湖の位置する緯度が高いほど、また標高が高いほど水温も低くなります。湖水の温度を決めるのは、四季の気温と日光の照射。春に表面の冷たい水が温められて4℃になると、比重が最大となって重くなり、下方へ向かいます。さらに春風の影響も受けて対流が起こり、水全体がほぼ4℃になります。これが「春の循環」で、夏になるとさらに表面の水温は上がって行きます。
一方、秋が深まると表層の水が冷え、春同様、湖面近くと底層の水温に大差がなくなります。これが「秋の循環」で、上方の水ほど温度が低くなります。支笏湖のように夏の低層の温度が4℃より高い場合、上から下がった水がすべて4℃になるまで循環は続きます。支笏湖ではその状態のまま春になるため、結氷しない不凍湖なのです。
支笏湖周辺の植物に、波と風で飛ばされた湖水が付いたまま凍った「飛沫氷」。まるで花が咲いたように美しい。不凍湖でしか見られない景色だ。
(左上)支笏湖ビジターセンターに展示されているパネルから、過去の結氷の際に徒歩で氷上を渡っている人々の記録写真。
(左下、右)結氷で船舶が立ち往生している希少な記録写真。
冬の湖畔に顔を見せたエゾ鹿
表面の一部に薄氷が張った状態の、冬の支笏湖
冬の楽しみ方は、人それぞれです。身体を動かしたいアクティブ派や、
知的好奇心を満たしたいインテリジェンス派、宿でのんびり派に美容追求派。
タイプ別に合った、水の謌での過ごし方をご提案します。
真冬だってアウトドアを楽しみたい!という人には、「雪景色千歳川清流下り」がお薦め。とくに雪が降った翌朝は、木々に付いた白い雪が光でキラキラと光り、幻想的で美しいそう。夏とは別の表情の雪景色を見ながらの川下り。スキーウェアなど防寒着を身に着けて参加しましょう。
支笏湖の自然について親しみやすく紹介する「支笏湖ビジターセンター」。館内の中央に支笏湖周辺の地形模型「クリスタルジオラマ」があり、その外側の展示は「森」「山」「湖」をテーマに3つに分かれています。「森の世界」には周辺に生える木の見本や、ボタンを押すと野鳥の鳴き声が聴ける「バードボイス」の設備が。「山の世界」では、樽前山の気象条件に適応する植物を、「湖の世界」では湖底木のジオラマや支笏湖の水中の様子を知ることができます。ぜひ足を運んでみてください。
実物大の「苔の洞門」のパネル展示(左)
支笏湖周辺の地形模型「クリスタルジオラマ」(右)
野鳥の声が聴けるバードボイス(左)
木の切り株を使った、ラウンジの椅子(右)
「旅はゆったりのんびりが一番!」という方には、暖炉のあるラウンジでの過ごし方をご提案。図書コーナーから1冊選び、音楽に身を委ねながらの読書もよし、夜はハープコンサートを聴きつつ焼マシュマロを楽しむもよし。
就寝前にはピローギャラリーを訪れて好みの枕をお選びいただけます。
夕食後はラウンジの暖炉前で、のんびり焼きマシュマロや読書タイムを
氷のオブジェ大小30基が雪原に並ぶ「千歳・支笏湖 氷濤まつり」は、千歳エリアの冬の一大イベント。支笏湖畔の会場は、水の謌から歩いてすぐ。氷のトンネルや滑り台をはじめ、美しいブルーの氷像が立ち並ぶ様は見ごたえがあります。
水の謌では、この冬、客室や大浴場をはじめ館内で使用するアメニティを一新。全アイテムが“支笏湖ブルー”をイメージした青いボトルのオリジナルに替わります。
「宿の開業時からのロジェクトで、足掛け4年で実現に至りました」と、開発を担当した「アスピア化粧品」の加藤朝子さん。「北海道産の素材を生かした化粧品づくりを進め、社内初の、道産黒大豆『黒千石』の発酵抽出に取り組みました。この黒千石発酵エキスをはじめ、保湿に優れたガゴメコンブエキス、シラカバ樹液、サケの海洋性コラーゲンを、全アイテムに使用しています」。
シャンプーとコンディショナーはノンシリコン。ラベンダー&バーベナの香りの「しっとり系」と、リーフィミントの香りの「さっぱり系」があります。また、女性向けに開発した「オールインワンジェル」は、化粧水と乳液、保湿クリーム、化粧下地の4つの要素を1本にまとめたものです。さらに男女兼用のヘアスタイリングウォーターを客室と大浴場化粧コーナー両方に設置し、同じ商品を売店でも販売。「実際にお使いいただいて、お客様からのご意見やご要望を反映しつつ、次のステップに進んでいきたいと思います」と加藤さん。
支笏湖畔の植物が描かれたパッケージは、水の謌の総合プロデューサー岡部泉氏のデザイン。北海道産の天然素材を生かした、ここだけのオリジナルアメニティに、ご注目ください。
■オールインワンジェル/1500yen(150ml)
■ミストウォーター/1200yen(150ml)
■クレンジングリキッド/1500yen(150ml)
■シャンプー(しっとり系)/1700yen(600ml)
フルボディ+フェイシャルパックにフットバス+フットマッサージ付の「水の癒やし」スペシャルコース(120分19,950円)は、通常25,000円相当のお得なプラン。また、身体をもみほぐす整体は、お部屋に伺っての施術も可能で、子連れママにも好評です。いずれも、男性もご利用いただけます。冬こそ身体をいたわってあげましょう。